フランク・ジャヌージ「超党派での『関与』主義が復活する」

中央公論四月号所収。著者は民主党スタッフ。中央公論にはよくAEIの研究員が論文載せてるから共和党寄りかと思うと逆方向に向かうのが、この雑誌の良いところである。
簡単に要点をメモしてみたが、ほぼ当たり前のことを書いていて、方向性もタイトル通りといったところなので長々と書くに値するような情報はない。著者がカヌーとカヤックの比喩を出しているが、上手い比喩でもないので、関係ない与太話で誌面を稼ぐなよというのが感想である。
そういえば米国ってスポイルズ・システムだったなぁとか当たり前のことを思い出しつつ、著者が中立の観点だと言いながら民主党寄りに議論を持っていくのは、なかなか巧いが卑怯だなぁと思う。しかし私はそうした議論展開のやり方をよく使う。同根じゃないかと思えばやや好感に傾くか。
クリントン→ブッシュ→次期政権までの流れは、「クリントン=正」として、「ABC(Anything But Clinton)」を掲げた「ブッシュ=反」、そして次期政権は超党派コンセンサスを取り付けるという予測の元に「合」としている。あぁヘーゲル的、というのは議論の運び方の常だから仕方ないが、それより「Anything But Clinton」と言えば、前回大統領選のケリーさんは「Anything But Bush」ではなかったか。雪斎先生がこの前に取り上げておられたところである。彼らの理想はクリントン時代の延長の先にあるニクソン(キッシンジャー)時代だろうか。


さて話を戻すと、文章中で気になったのが二点。一つは京都議定書も支持するだろうというところ。思えば確かに京都議定書を破棄したのはブッシュ大統領だったし、GMなどのエコ自動車技術もそろそろ復調の兆しが見えそうな辺りを考えると、それなりに現実的な話だと思う。
もう一つは、ブッシュ政権は対北朝鮮政策において太陽政策を見放したから失敗したんだという意見。日本の立場からすると太陽政策なんて一瞥に値しないと思っていたので、他国の立場から考えてみることは必要だなと思った。まぁ米国はイラクで忙しいので現在の日本の強硬路線に合わせてられないというのは、もはや当たり前の話だが。