雷鳴の如し
雷が激しく鳴っている。なんとなく孫子の一節を思い出す。有名な一節。
其疾如風
其徐如林
侵掠如火
不動如山
で、これには続きがある。
難知如陰
動如雷震
大体語句のリズムが良いところで抜き出すと、これくらいになる。「知り難きこと、陰の如く、動きては、雷の震うが如きなり」と訳されるが、「雷震」が「雷霆」とされているバージョンがあるらしい。大概書き方が数通りあるケースというのは、同じ意味の漢字を充てている場合なのだが、「霆」の意味を引っ張ってみると、「雷」とほぼ同意字とある。ちなみにそちらで読むと「雷霆(らいてい)の如し」と読む。すると、この二つのバージョンでは、大意には変化ないが、語句としての意味では大きくずれることになる。岩波文庫版が「雷震」か。字の感じとしては似た感じであるので、そこから二つに読み方が分かれたというところなのであろう。