http://www.asahi.com/paper/editorial20070608.html#syasetu1

コムスンの一件に関しては、ちょっと気になるというか、割り切れない問題だという直感がある。
コムスンが営業譲渡という裏技をやろうとしたのは、こいつすげぇと思った。だが、結局は厚労省に圧力かけられてて、そう上手くはいかないのだなぁ、と。
なぜ厚労省もここまで厳しい処分に踏み切っているのかなと思うのだが、コムスンの親会社グッドウィルグループは急成長した革命児的な扱いをされている企業だとはいえ、その成長の元となった介護事業というのは国が認可を下ろしてやっているものであり、言わば国が民間に事業を委託している形だと言えなくもない。だから厚労省としては、ここでコムスンに対してどちらが主導権を握っているか、ということを自覚させようという狙いがありそうな気がしている。ホリエモン逮捕といい、調子に乗ってるヤツは引きずり下ろそうぜみたいな世の中の秩序のようなものがあるのでしょうね。ま、図に乗る人間を弁護したいわけでもないが。
で、今回のこの事業認定取り消しの動き自体はどうなのか。これについては実際に認定取り消しなんてしてしまうと、介護事業が大混乱するだけだし、厚労省のブラフだと思いたいところであるのだが、これが本当に取り消しまで行く場合、介護される側の人々が困るであろう。事業内容が悪いという厚労省の申し立てももっともなのだが、これからの介護事業に携わる人々のことを考えていくと、フィリピン人とかが大半になったときに、厚生労働省は今と同じような大ナタが振るえるのか。介護事業というのはそもそも賃金や労働環境の面で曲がりなりにも良いとは言えないし、将来の展望を考えていくと、なかなかに凄惨と言うほかない業界になっていくであろうことは想像がつく。このあたりを国がやっていないことの意義とか問題点は考えるべきであろう。だからといって別段国が事業を担当する福祉国家構想を持ち出したいわけでもない。将来の問題を考えれば、私としてはフィリピンに対する外交云々の方が責任のウェイトは重いのではないかと感じている。