森見登美彦「太陽の塔」は危険
まずあなたがたに一つだけ言っておく。人前では読むな。
- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/06/01
- メディア: 文庫
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もう一度繰り返すが、人前でこの本を読んではいけない。硬派な文章でユーモラスに駆け抜ける痛快さが、この本にはある。一見堅そうに見せかけた一文ごとに仕掛けが施されていて、笑える。特にこの本の笑いは思わずにやけてしまうような笑いである。帰りの電車内では存分にニヤニヤさせてもらった。
ファンタジーノベル大賞だったか、そういう箔付きもあって多くの本屋では文庫の平積みコーナーの一角を占めている。書店員が自作したと思しき推薦の広告もあったりするが、そうした賛辞は何故か「ハマりますよ」だとか「要注目」だとかいう控えめなもので終わっているのである。何故爆笑だと警告しておいてくれないのか。そうした点に、書店員のいやらしさが垣間見えた今日だった。