速報出た後では後出しになるけど

小沢は辞めないと思っていた。
丁度政治が揺れている時期であるので、昨日にそのことを書いておこうかとも思ったが、あらゆるブロガーが、小沢支持のfinalvent氏でさえ小沢辞職をほぼ肯定している向きだったので、私の不見識かとも思っていた。
ものすごくとってつけた言い分のように聞こえるので理由を付け足しておくと、民主党政権交代を目指すにしろ、リーダーとなりうるのは小沢だけだということを鳩山・菅もさすがに理解していたであろうし、そういう意味で小沢が辞意を表明したと同時に二人が慰留に動いているというニュースが流れていたので、小沢の辞職の可能性は弱いと感じていた。
小沢の側にすれば、新聞などは新党立ち上げを吹聴したが、体力的に民主党と同規模の政党を育てる力は残っていないであろうし、そもそも新党を立ち上げて何が何でも自民党と連立したいというのが目的だろうとは思わなかった。それについては極東ブログでここ数日の動向がまとめられているので参照して欲しいが、そもそも連立を持ちかけたのは自民党側であるのだし、ここで民主党を離脱して単に与党側に与することに利益があるとも思えない。相手が民主党でなければ、自民側も今回の条件を提示してくるとは限らないからだ。あくまでも民主党で自民の条件に乗ることが、小沢にとって何か利益が見込めることだったのだろう。
あるいは、今回の辞意表明に関して、小沢は今までの”壊し”の実績と同様に決断すると早いという意見もあったが、これは民主党内の綱引きをしようという意図ではないかと思っていた。というのは、上記のように鳩山・菅がリーダー小沢を必要としているのであれば、慰留を求めて来るであろうし、そこで党内に譲歩させる腹づもりだったのではないか。民主党内がどのような派閥に分かれているかは詳しくないが、党内調整役である鳩山・菅に折れさせれば実質の党内譲歩のはずである。もし二人が譲歩してまで慰留するつもりがないならば、小沢の民主党内での必要性重要性も認められないのだし、そうなれば辞める腹づもりであっただろう。
どのように譲歩が決まったのか、結局の部分は分からないが、昨日の慰留でほぼ小沢は納得していたのではないだろうか。

 役員会では、個別政策については自民党と協議することを容認した。鳩山氏は終了後、記者団に対し「役員会の総意として小沢代表に続投していただきたい。慰留をお願いする」と説明。大連立構想については「与野党で必要に応じて政策議論をすることはあっていいが、その先に連立がある話ではない」と述べ、連立を前提とせず、安全保障などの政策協議開始で小沢氏の理解を得たいとの考えを示した。

 これを受けて鳩山氏、菅直人代表代行、輿石東参院議員会長の3人が小沢氏と東京都内のホテルで会い、続投を求めた。小沢氏は回答を保留したが、「4日に辞表を出したばかりだ。心の整理の時間がいるので待ってほしい」と語った。

 また、役員会に先立ち菅氏は同日午前、小沢氏と協議した。鳩山氏によると、小沢氏は菅氏に大連立構想について「自分は連立にこだわったわけではないし今、連立にこだわっているわけではない」と説明。「連立は役員会で否定されたので、一番大事なことは選挙で勝つ態勢をいかに作るかということに尽きる」と語ったという。

http://mainichi.jp/photo/news/20071106k0000m010092000c.html

この時点で福田総理が連立以外について提案した部分(そもそもテロ特措の新法と連立の話は別個であると思われる)については民主党内は容認する構えがあると示したわけであり、小沢が翻意するに十分な条件と見て良いのではないだろうか。今日まで引きずったのは、もう少し譲歩を引き出したかったか、単に尚早に辞意撤回することを避けただけかもしれない。
この点から逆説的に見るならば、小沢が重視するのは自衛隊派遣に関して自民党が提案した部分であって、連立に関しては重要視していない。というかむしろ連立を認める向きを示した(・・・のか?)ことは全く小沢の失策だったと言えるかも知れない。finalvent氏が指摘するように、自衛隊派遣に関する提案で自民党は信じられないような丸飲み案を示しているのであって、それでもこうして自民党が沈黙を守れるのは不思議だ。多分、この齟齬にこそ知られていない裏取引があると見るのが順当なのだろう。
で、既にこの点に関して福田総理は相手が一度断ったのだからと翻意しかけている。今や民主党が混乱して乱れているようにも見えるが、自民側の丸飲みが勢い余っての失策だったならば、今度は民主党が攻勢をかける番である。ただ、そのように安易にはいかないだろう、というところで同時に交わされた裏取引が何かということを推し量る必要が出てくる。そして、立ち直った民主党自民党に対してどのような態度を取るかが、それを推測する手がかりとなるのであろう。